日曜日、久しぶりの朝寝坊。
朝の弱い私には、とても幸せな時間だ。
太陽光を浴びながら、浅い眠りに入った。
すると、10年ほど前に亡くなった、おじいちゃんとおばあちゃんが出てきた。
おじいちゃんもおばあちゃんも、遠方に住んでいたため、年に1回、多くても2回ほどしか会えなかった。
学生時代は学校の文化祭などにわざわざ来てくれたが、学校を卒業した頃から、おじいちゃんもおばあちゃんも体調に不安を抱えるようになり、こちらに来てもらうのは難しくなった。
おじいちゃんとおばあちゃんが目の前にいるのは、夢だとはうっすら分かっていた。
でも、おじいちゃんとおばあちゃんに生前言えなかったこと、できなかったことを、是非とも伝えたいと思ったのだ。
でもよく考えてみると、おじいちゃんとおばあちゃんに伝えたいことは面白いほど浮かばなくて、ただ近くに座ってニコニコしていることしかできなかった。
自分が何かを伝えたいというより、おじいちゃんとおばあちゃんとただもっとそばにいたかったのだと気づいた。
私は、高校2年生の時に体調を崩してしまい、おじいちゃんとおばあちゃんの家に行きたいと思っても、自腹で交通費を負担できるほど稼げていなかった。
おばあちゃんが先に亡くなってからは、せめてもと、毎日おじいちゃんに電話をしていたが、私は、普段会っていないおじいちゃんとの電話で緊張してしまっていた。
毎日電話するので、何を話したらいいかも分からなくなっていた。
いい大人になった今では、おじいちゃんとそれなりに会話ができたと思う。
もっと、おじいちゃんとおばあちゃんのそばにいたかった。
夢が終わりかけていた。
まだ、目を覚ましたくない。
でも、部屋に射す太陽光も強くなってきた。
おじいちゃんとおばあちゃんとは、もうお別れだ。
おじいちゃんもおばあちゃんも夢では自然体で、私は、また、ふたりが夢に出てくることがあったら、少し悲しくなってしまうかもしれないと思い、現実世界に戻って行った。